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【あご当て】気にしてますか?音色も弾きやすさも変わる?!現役講師指南

秋の発表会シーズンになってきました。

日々の練習はもちらんですが、楽器を調整することでより演奏しやすいようにできます。

今回は、あご当てについてお話します。

弾きにくさの原因

みなさんが楽器が体に合わないと感じた時や、なんか弾きにくい、思うような音色が出ない時、どのように調整していきますか?

多くの人は、肩当てを変えてみたり、弦を変えてみたり、楽器や弓、そのものを変える方もいらっしゃるかもしれません。

そこでもし、あご当てで、調整できるとしたら。あなたの可能性がもっと広がるかもしれませんね。

そして、どの楽器も体にハマる感じがしない方や、肩当てひと通り試しても、結局納得いかなかった方に向けた記事です。

あご当ての種類

あご当てには3種類あります。

  • お皿と突起有りの【グァルネリ型】
  • お皿だけで突起無しの【ドレスデン型】
  • お皿型で楽器の真ん中につける【フレッシュ型】

お皿と突起有りの【グァルネリ型】

お皿と顎の下まである突起がついている。テールピースを超えてついている、あご当てです。

あの、名器であるグァルネリについていたあご当てがこの形だったことから、付けられた名前だそうです。

大人サイズ(4/4)の楽器にはわりと多くみられる、スタンダードなものです。

楽器を構えた時に、楽器が右側にずれます。
あごとテールピースまで伸びた突起物が密着するので、体と楽器にフィットします。
首が長い方やあごが滑ってしまい不安定になりやすい方に向いています。

お皿だけで突起無しの【ドレスデン型】お皿だけ

グァルネリに見られる、楽器のテールピースを超えた部分まで伸びた突起がないタイプ。

楽器にお皿がくっついたような感じです。

さらに、お皿の縁が深いものや浅いものなどがあります。

分数楽器によく見られるあご当てでもあります。あご先から顔のえら下あたりまで、顔の広い範囲にあご当てが当たります。
肩当てで楽器の高さをだせて安定する方や、逆に肩当てが必要なく楽器と体を密着させて弾きたい方向けです。

真ん中タイプの【フレッシュ型】

楽器の真ん中につけるタイプで、形状はお皿。テールピースをまたいでいて、楽器の真ん中にあごがきます。

お皿の形でも、ふちが深かったり浅かったり、真ん中だけ膨らんでいたり、様々なものがあります。

数年前、世界的なヴァイオリニストがこぞってこれを使っていましたね。
楽器を構えた時にあご先が楽器の真ん中あたりに来ます。そして楽器の重心と体の重心が近くなりますので、楽器を構えると姿勢が悪くなりやすい方向けといえます。

タイプ別おすすめ【あご当て】

ヴァイオリン講師として実際の生徒さんの例をあげてご紹介します。
ご自身の状況に照らし合わせて参考になりましたら幸いです。

【グァルネリ型のあご当てがハマるタイプ:首が長い、あご下に高さがあると弾きやすい、以前まで問題なかったのに楽器を替えたら弾きにくくなった、痛みがある】

生徒さんで、楽器を構えると首や鎖骨あたりに痛みを感じる方がいらっしゃいました。
その生徒さん、構えた時の姿勢や体へのハマり具合を見てみても問題ありませんでした。
試しに肩当てを無しにしたり、高さや角度を変えたり、肩当てをタオルでくるんだりしてみましたが、状況は変わらず。
痛みからレッスンに集中しずらかったりして、なにかケアできないか模索しておりました。
以前、ほかの生徒さんで【フレッシュ型】のあご当ての形状で弾きやすくなった事を伝えると、試してみたいとのこと。

その時、アクシデントもあり、たまたま備品を使用してもらったら、なぜか痛みがなく、問題なく構えられている!

なぜかみんなで考えてみたら、あご当ての形状の違いから来ていることが判明しました。

以前問題なく使っていた楽器と備品は、【グァルネリ型】のあご当て。
今使用している楽器は、【ドレスデン型】のあご当てでした。
その生徒さんには、楽器とあごが密着していて、グァルネリ型だと楽器が体の右側にずれるため楽器と腕の距離も近いくなったことで、弾きやすかった様子。

以下の問題点を抱えている方に【グァルネリ型】おすすめします。

問題点

  • 今まで使用していた楽器では体にあっていた、痛みなく問題なかったのに、楽器を変えたら痛くなって体にフィットしない
  • 肩当ての高さを変えても、肩当て無しやタオルでくるんでも痛みは消えない

ちなみにこの生徒さんはちょうどサイズアップの時期と重なったので、【グァルネリ型】のあご当ての楽器でサイズアップしたものをご購入することになりました。

【ドレスデン型がハマるタイプ:あごと楽器本体の距離が近い方が弾きやすい、いかり肩、肩当てだけで楽器が滑らずフィットしている】

サイズアップされる生徒さんで【グァルネリ型】と【ドレスデン型】、両方試してもらったことがあります。

その生徒さんは、楽器を構えるときにいたみがあったりとか楽器が不安定であるなどの問題は無いかたでした。
しかし、あご当てで弾きやすさが変わるので、両方試してもらいました。
その生徒さんは体格は、やせ型であごはなだらか。肩当ての調整だけで問題なく演奏できていましたが、弾き比べた結果、【ドレスデン型】の方が楽器の響きがよくいい音で演奏できていました。

本人も【ドレスデン型】の方が弾きやすかったそうなので、弾きやすさと音色が良いほうで選択しました。

【グァルネリ型】と【ドレスデン型】、両方試せるようでしたら、問題ない方でもお試しください。

【フレッシュ型がハマるタイプ:楽器がずり落ち下がってしまう、でも極力肩当ては使いたくない、構えた時に姿勢が崩れやすい】

我が家の猫背

以前担当していた生徒さんで、楽器をサイズアップしたら楽器が重くなり演奏時の姿勢が悪くなった方がいました。

肩当てを使用して調整してみましたが、その生徒さんはもともと肩当て無しで演奏していたこともあり、違和感からレッスンも集中しづらくなっていました。
肩当てでの調整はしたくないけれど、演奏のときの姿勢が悪いから、左手がネックにくっつけないと押さえられない。そのせいで指の操作性が落ちて、音程も悪い。
この頃、世界的に真ん中タイプのあご当てが流行っていて、世界的なソリストを中心に使用してる人口が増えておりました。
そこで生徒さんに【フレッシュ型】のあご当てを提案したところ、真ん中にあご先が来ることで、体の中心に楽器の重心が来やすくなるために、弾きすくなった様子です。

以下の問題点を抱えている方に【フレッシュ型】おすすめします。

問題点

  • 楽器がずり落ちる、不安定
  • 骨格的に体幹が弱い
  • 演奏時に姿勢が崩れやすい

ちなみにその生徒さんは最終的には、あご当て+肩当てを一番低くしたことで、演奏時の姿勢が改善しました。

【世界のソリストのあご当て事情】

数年前、楽器の真ん中に来るタイプのあご当てが流行りました。

主に海外のソリストが使用しているのをSNSで拝見しました。
ヒラリー・ハーンや、2setviolinなど。
他にも海外のヴァイオリンの学生でも使用している方をたくさん見かけました。

ソリストはおそらく、なにはともあれ【ソリストにとって一番いい音】を追求していくと思います。

新しい弦が出れば試して、新しい弓が出たら(カーボンが流行ったときもありましたね)試して。
常に良い音の為に、試行錯誤をされていると思います。
では2024年現在は、何を使っているのかというと、そうでもなかったりするわけですが、それも含めて、いい音を常に追求してますよね。
ソリストでなくても、皆さん体は日々変化していますし、気候も様々。その時、一番いい音が出るように試行錯誤していくのがベストだと思います。

【肩当てとあご当ての関係】

あご当ての形状が体にフィットするかしないかは、肩当てを使用しているかどうかも関わってくると推測しております。

肩当て有り、肩当ての高さが高い、なで肩

肩当てで、いつも割と高い高さが出るものを使用している場合、高い方が体にフィットするのであれば、あごの先端まで伸びている【グァルネリ型】を使用したほうがフィットすると思われます。

また、なで肩の方など体の上で楽器が不安定になりやすい人は、【グァルネリ型】だと突起があごに引っかかるため、弾きやすくなる、と言うことも考えられます。または【ドレスデン型】でも溝が深いタイプだとあごに深く引っかかりやすい。

肩当て無し、または肩当てを一番低くして使用、タオルなど

肩当てを使っていない場合、またはタオルや肩当てを一番低くして使用している方だと、もともとの体の骨格が楽器にフィットしやすいです。真ん中タイプの【フレッシュ型】かまたは突起無しの【ドレスデン型】で溝がフラットのほうが体にフィットしやすいので弾きやすくなると思います。

グッズ|ちょっとの工夫で弾きやすくなる

最後にあご当て替えるのはハードル高い方向けに、ちょっとしたグッズでも調整できるので、ご紹介します。

あご当てに貼って引っ掛かりをつくるシール

あご当ての、あごが当たるふちの所に貼って、若干の高さと滑り止め効果が期待できるものです。

気にならない程度だけど、移弦したりすると、顎が不安定になって弾きずらいかたにおすすめです。
これを使って弾きやすくなった方、結構多いです。

肩当ての代わりにもなる滑り止め

100均でも手に入る、滑り止めです。

写真のものは、セリアで購入しました。
ほかの100均だと、園芸コーナーなどでもっと巻物のようにして売られていました。切ればいいですね。

これを楽器の裏に置き、きしめんタイプの長めの輪ゴムで楽器のへりに止めます。

【私も彷徨っている】

いかがでしたか?

あご当てで、これだけ種類があることや、あご当てのタイプ別にフィットしやすい方を記事にしてきました。

そんな私も、数年前に憧れのヴァイオリニストであるレイ・チェンさんが使用していたあご当てに似たもの【ドレスデン型】をカスタムして使っていたことがあります。
あごが楽器にあたる範囲も広く、体全体を使って楽器を包みこんで演奏している感じになりました。
しかし、気分的に戻したくなり、楽器購入時についていた、突起有りの【グァルネリ型】に戻したり。
そしてまた近々、【ドレスデン型】に戻す予定です。。

演奏する曲によっても、弾きやすいあご当てが存在するかもしれませんね。

あご当ては、試すことができる場合もあります。楽器屋さんにご相談いただき、可能な範囲でお試しください。

エリーゼ先生でした!


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